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珍しく定時で上がれたから綺田さんがお勧めしてくれたお肉屋さんへ行ってみるか。
マンションの近くなら、昔ながらの商店街の中かな。
あまり来ないからうといんだけど。すぐ見つかるかな。
「あれ。木津くん。お疲れ様」
ひい。
「何処、行くの?」
「お肉屋さんです」
「へえ。ハンバーグでも作るのかな。しっかりしてるね」
しっかりして下さい!
「俺はあんまり自炊しないんだ。でも包丁とかは揃えてる」
何かお作りしたい。
「誰か、ごはん作ってくれないかな」
挙手しますが。
「部屋にあげるのが億劫でね。俺は誘い方が下手なんだ」
何を仰っておられるか自分で理解されていませんよね。
「木津くんは、どうやって誘うの? 口説くの?」
見上げて言うかな。
「俺相手じゃ言えないよね、目に入らないでしょ」
あなたしか見ていないんですけどね。
「なかなか、好きな人以外に言えないよね。ごめんね」
お断りされた感が半端じゃない。
「おかしいね。どうして黙ってるの。俺、邪魔かな」
「そんなはずがないでしょう!」
あ、また大声出した。恥かかせたかな。すみません。
「おなかすいてるの? この先のお肉屋さんに」
「知ってます!」
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