2人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
無駄がない、計算された線。
サッと引かれたように見えて、物の形をしっかりと捉えている。
青と白だけで連なる山々と遠くに広がる海が描かれていて、とても美しいのだが、まるで深い深い闇に包まれた深夜のような景色。
空に星はなく、細い月があった。今にも雲に隠されそうなのに、銀糸のような月はその存在を示していた。
光と縁を切ったようなイラスト。
音のない暗闇に飲み込まれそうだ。
息を飲むほど美しくて。
その風景の前に立っているような錯覚。
こんなイラストを描ける人物を、ひとりだけ知っていた。
最初のコメントを投稿しよう!