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お化けトンネル
「ここのトンネル、出るって」
ゼミの面子で深夜のお化けトンネルに連れて行かれた。大学から少し距離のある県内で有名なお化けトンネル前で車を降り、数人で入口前まで行った。
それほど大きくはないトンネルで、片側一車線。
通行はほとんどなかった。
「いかにもな雰囲気だから、そういう噂が出ただけだろ?」
街灯はあるのに暗く感じ、古びたコンクリートに漏れてきた水が黒く広がって怖い雰囲気を醸し出していた。
いかにも『出そう』な感じだった。
「そんなことないって。ネットだとトンネルの壁に人の顔が浮かんでるように見えるって書いてあるよ」
いつも以上に生き生きと言う。その熱意を卒論に向ければいいのにと少なからず思った。
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