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青は藍より出でて藍より青し。
僕は、あなたにとって、青にはなれませんでした。
あなたは、僕のおじいさんにとってみれば、青だったのでしょう。
あなたは偉大です。
それは、もう、誰が見てもね。
きっと、歳を経るごとに、あなたの鮮やかな青は成熟されていき、今のような深く重みのある藍になったのでしょう。
僕は青く産まれました。
でも、僕の青は、希望や才能を感じさせるものではなく、薄っぺらのくすんだ青でした。
努力なんてものでも、綺麗な鮮やかな青にはなれませんでした。
僕は今、あなたから見たら何色でしょうか?
あなたは、さぞや落胆したことでしょう。
まさか、俺の子がと。
あなたは、母さんも責めましたね。
でも、それは間違いなのですよ。
だって、あなたの血も僕には流れているのですから。
あなたのせいでもあるのですよ。
ああ、妬ましい。
あなたの、その藍が妬ましい。
だから、僕は決めたのです。
あなたの藍を黒く染め直そうと。
これから行きます。
あなたの血で染められた藍は、きっと、僕の心根のように、どす黒くなることでしょう。
ああ、早くあなたを染めたい。
僕の、この成れの果てを受け止めてください。
ああ、早くあなたを染めたい。
心より愛を込めて。
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