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ギターケースを傾け、中を見せてくれる。 私は500円しか出さなかったけれど、中にはお札がたっぷり入ってた。 「きみのおかげ……別にお金目的でやってるわけじゃないけどさ」 彼はとてもなめらかな声をしている。 低くもなく、かといって甲高いわけでもなく。 歌った時はそれが、優しい音になる。 そんなことを思っていると、彼は周りのものを一切片づけ、ギターケースを持って立ち上がった。 「よし、じゃあ招き猫くんにはお礼をしなきゃな。飲みに行こう」 「うん! 行く」 私は、ぴょん、と立ち上がった。
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