始まりのステラーロ 

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始まりのステラーロ 

 あの出来事が僕の世界を大きく変えてしまった。いや、それはもちろん僕だけの問題じゃない。この国全体が、あの日を境に大きく変わってしまったんだと思う。過ぎ去った出来事は、受け入れるより他ないのだから、いつだって過去は理不尽なんだ。 「どうしたの? そんな驚いた顔をして」  僕の横には宮古希海(みやこ のぞみ)が立っている。スッとした背筋に、真っ白なスカートが眩しくて、思わず彼女から視線をそらす。 「いや、なんか、突然だったから……」  小さな駅舎の周辺には、民家の影さえなく、どこまでも田園風景が広がっている。地平線で交差している空は、まるで絵に描いたような夏の鮮やかさを放っていた。日差しは強く、でも微かに吹き込んでくる風が暑さを和らいでくれる。  やがて、まっすぐ伸びている線路の向こう側から、一両編成の気動車がやってくる。ディーゼルエンジンの音が徐々に大きくなるにつれて、気動車はスピードを落としながらホームに滑り込んできた。     
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