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「今日は満月か。明日から欠けていきますね」
楼唯が呟いた。
どうか、この愛が月のようにならないでと願った。
月は欠けていくと一瞬無くなってしまう時がある。やがて満月に戻るが、そんな変化のある愛は望んでいない。
刺激は無くていい。平坦で穏やかな愛が続いてほしい。
楼唯は前を歩く私の手を掴むと引き寄せた。
私達は月明かりに照らされて抱きしめ合った。
「綺麗です。沙羅伊様」
いつも楼唯の言葉に胸を躍らされる。
どこからそんな言葉が出てくるのか、恥ずかしくなる。
私は意地っ張りで高飛車だから、愛を囁くことなど出来ない。だから抱きしめる腕に力を込めた。強く、強く。
逢瀬はいつだって夜。
楼唯の水晶の耳飾りはいつも星の色だった。
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