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指切りをして私は職員室を出た。
なんだろう。
胸がどきどきと世話しない。
こんな感情、初めてだ。
私は、指切りをした小指を眺めた。そこだけ赤い、気がする。
「原っち~。遅かったね」
「ひよちゃん先生に何言われたの?」
「怒られた?」
職員室の外で待っていた友人たちに質問攻めにされる。
私は、標語のことだけを伝えた。
その間も、私の頭の中は、先生のことでいっぱいになった。
「あれ? 原っち顔赤くない?」
「ほんとだ! ねぇ、他に何か言われなかったの?」
「べ、別に何も」
私は嘘を吐いた。
このことは先生と私の秘密で良い。
「原っちにも恋の予感?」
「やだ~! またライバル増える!」
「あんたなんて先生は見てないわよ」
あはは、と笑う友人たちの後ろについて、私は教室に戻った。
今度から質問どうしよう。
まだ約束した小指が熱い。
いろいろな初めてを奪っていった先生に、私の心はまだまだ振り回されるのかもしれない。
でも、そんな毎日も悪くない。
なぜだかそう思えた。
校内放送が、あと十分で昼休みが終わることを告げていた。
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