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先生は私の暗い顔を見て、苦笑した。
「今日呼び出したのは……。悪い知らせじゃないんだ」
「……へっ?」
「この間、人権の標語を授業で書いたの覚えてるか?」
「ああ……。はい」
私は思い出す。
現代文の授業の時、人権に関する内容の勉強をした。その時に標語を六つ作って提出したのだ。
「あの時に作った原の標語が、県のなんとか賞を取ったってお知らせ」
「ほ、本当ですか?」
「嘘を言ってどうする」
「な、なんだ……。私、てっきり怒られるんだと思ってたんで……」
それを聞いた先生は豪快に笑った。
「原を怒る理由なんて無いから! 真面目に授業、受けてくれてるし」
「はあ……」
私は胸を撫で下ろした。
良かった……。これで一安心だ。
私は、それじゃあ、と言って教室に戻ろうとした。
しかし、先生の言葉がそれを許さなかった。
「いや……。一個だけ言っておきたいことがある」
「な、何ですか?」
「原、お前。授業の質問、隣の谷口先生に聞きに行ってるだろ?」
どうしてそのことを……!
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