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「谷口先生に聞いたんだよな~。二組の原さんはとても勉強熱心な生徒さんですね、って」
「そ、それにはわけが……」
「どんなわけ? ん?」
きらり、と先生の目が光る。
この状況を楽しんでいるのか、本気で聞き出そうとしているのかは分からない。
私は言い訳をする。
「と、隣のクラスに友達が居て……。一緒に質問しに行っているだけです」
「本当?」
「ほ、本当です」
まさか先生が苦手だからですなんて言えやしない。
私は、泳ぎそうになる目を必死に固定して先生の目を見た。
先生はしばらく私を見ていたが、やがて、ふう、と息を吐いた。
「そっか。なら良いや」
「はい」
「でも、その友達が居ないときは、必ず俺に質問すること! 分かった?」
「は、はい!」
思わず大きな声が出てしまった。
先生は笑う。
「それじゃあ、指切り」
「えっ」
「嘘ついたら針千本だからな」
そう言って小指を差し出してきた。
おそるおそる、私はそれに自分の小指を重ねた。
「指切った!」
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