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――こうするより他なかった。
あの時、彼女は確かにそう言った。それは他に選択肢がないということ。自由と呼べるようなものから隔絶された状況、それはまた、ある種の運命。
「まあ、お前の成績だったら、どこでも大丈夫だろうなぁ」
「さあ、どうだか。林も受験はするんだろう?」
運命は希望の光になることもある。だけれど、それは時に残虐性を帯びることもある。
「一応な。でも、ちょっといろいろ厳しいかなぁ」
林はそう言って、空を見上げながら大きなため息をついた。すっかり夏空となった青色は、欠けた色彩を埋めるような鮮やかさを保っている。でも僕はこの青さに奥行きを感じないんだ。うすべったく引き伸ばしたような青色に、雲を一つや二つ置いたくらいで本当の空を描いたつもりになってはいけない。
空……。
「そう言えば、この間の話、あれから何か進展あったのか? いやさ、なんかロマンチックな出会いじゃんさ」
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