2/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
【博】  やったね!終(つい)に特選だ。入選句には、『定』を二つも織り込んだやつは無かったぞ、ふふ。鏡に向かってにんまりとしたが、僕の頬には、もちろん片笑窪は無い。このところ、5、6週に一度は入選する快調なペースだ。良し、今週も頑張って入選を目指すぞ。  さあ、『博』か。この所お世話に成りっぱなしの、漢辞海22頁、十部12画だ。語義は『大きい、多い、広くいきわたるさま』か。前熟語に25、後熟語には三つだけ。使えそうなのは、博愛、博学、博士、博識、博徒、博覧、該博か。だけど、やっぱり、博とくれば、博多やないかいな。  博多の町は*山笠一色だ。 「オッショイ、オッショイ。オイサ、オイサ」  掛け声も勇ましく、男達が山笠を担(かつ)いで疾駆(しっく)する。脚絆(きゃはん)、地下足袋(じかたび)で足元を固め、*帆布(はんぷ)製の締込(しめこみ)と*水法被(みずはっぴ)を着用している。*〈流(ながれ)〉独自の手拭いで鉢巻し、櫛田(くしだ)神社のお守りを身に着けている。  毎年7月1日からクライマックスの15日の明け方まで、2週間の長丁場だ。毎日の山笠行事が終了すると、町ごとに設営された詰所で直会(なおらい)が催される。舜が黒木と一緒に参加する土居流(どいながれ)中土居町(なかどいまち)の詰所は、土居交差点の近く、旧三井銀行の駐車場に設けてある。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!