水島先生

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この日以来、俺は何かと音楽室に入り浸るようになった。 聖羅には「バンドの練習の後、たまに寄るだけだ」と言っていたが、実際は、殆ど毎日。合唱部の練習が終わった頃を見計らい、さも部室に用事がある体で立ち寄るのだ。聖羅にバレると煩いから黙っておく。 水島先生のピアノを聴くと、心が洗われるような気がした。 そのお陰かどうかわからないが、それからは面白いように言葉が浮かんできて、あっという間に任務を遂行することができた。 出来上がった歌詞をメンバーに見せると、満場一致の『いいね』が貰えた。良かった。これでようやくお花畑から抜け出せる。 「あとは曲だな」 木ノ下が、ため息交じりに頭を掻いた。 「あのさ、その事なんだけど……」
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