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そして現在、人々は地球環境を模した内部を持つ巨大な宇宙船に乗り、地球を、太陽系を脱し、新たな住処を探す。地球と似通った、そして地球よりも寿命の長い場所を探す長い旅に出た。
太陽系外の探査機や衛星から集めたデータを元に割り出された、有力な移住先の候補地に向かうものの、その星が実際に移住に適した場所であるかどうかは、実際降り立ってみないことにはわからないことが多く、もし、当初に予定された移住先が不適格であれば、その後、宇宙船は延々と宇宙を彷徨うこととなった。
しかし、それでも確実に太陽の灼かれる未来が待つ地球にいるよりは、宇宙に乗り出す方が生き残る為の選択として正しいものと考えられ、宇宙船への乗船権を欲する者は後を絶たなかった。
長い航行を想定し巨大に造られた宇宙船ではあったが、乗船できる者の数には限りがあった。資本主義が世界に行き渡った現在の地球では、富める者のみが乗船権を獲得した。
それ以外の者たちに対し施政者達は、「救済措置を用意する」と発布し、盛んになだめようとしたが、資産の多い者から順に宇宙へと飛び立つのを見ていた彼らは、「救済措置」の生き残りの望みの少なさを確信していた。
それでも、皆、残り少ない時間を、現実から目を背けながらも平静を装い生きていた。
粛々と、最後の日々を。
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