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―魚臭い王子―
ある小国に、海いろのマントが良く似合う若い王子がいた。
王子は、無類の魚好きで、魚以外のモノには全く興味が無かった。
王子も国王になる日が近付いてくると、思春期のせいか、誰かに恋され、愛されたくなった。
王子は、国王と王妃に、王位継承までには妃となる娘を迎える事を約束すると、自室に戻り、いつものように扉に鍵をかけた。
王と王妃はこれに安堵の表情を浮かべていた。
そして互いに寄り添うと、やはり自分たちの息子は普通の男だった、と微笑んだ。
だが、実際は違っていた。
国王も王妃も「本当の息子」を知らなかった。
王子は単なる魚好きではない。
魚に特別な感情を抱いていた。
だから、この王子の恋の相手が「陸」に存在するはずがなかった。
王子はどこまでも変わっていた。
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