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―変人王子―
その真夜中。
王子は城を抜け出した。
王子が向かった先は、やはり「海」だった。
王子は指を折り重ね、海の神へと祈った。
「どうか、人の形をした「魚の娘」と巡り会えますように」と。
王子が、折り重ねた指を解いて城へ帰ろうとすると、ある男が王子を呼び止めた。
それは、黒いローブを下半身に巻いた、 上半身裸の男だった。
「お前が魚臭い王子か」
あなたは、
「お前の望みを叶える者だ」
黒いローブの男は 、そう言って王子に分厚い本を手渡すと、 その本の中から深海の大王の物語を読み解くように伝えて去っていった。
その翌日。
王子は、国王と王妃にある頼み事をした。
それは、国王と王妃を愕然とさせるものだった。
―人魚さがし―
王子は、国王と王妃に言った。
やはり、妃に迎える娘は人魚でなければならない、
だからそんな娘を国中から捜してきてほしい、と。
これには、さすがの国王も激怒した。
いい加減にしろ、お前は魚でもなければ、人魚でもない、
人の子だ 、私たちの息子、人間だ、
それに第一、人魚などいるわけがない、
いい加減に眼を覚ましてくれ、
王子は、国王と王妃に背を向けると、
顔を怒りの赤に染め、城を出ていった。
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