カササギの橋は渡らない

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「浴衣どうするの?」 「家で用意してもらったのがあるからそれ着て行こうかなと思ってた」 「着付けは?」 「毎年合宿で鍛えられたし、着付けくらいは自分でできる」 「そっか、毎年のことだもんね。それに沙羅(さら)はスタイルいいし」 「那結(なゆ)だってかわんないじゃないの」 (沙羅(さら)の方が胸があるけどね……) 私―弓削那結―と、沙羅(菊田沙羅)が何を話していたかというと、七夕の話。 仙台では八月五日に七夕の花火が広瀬川で打ちあがる。六日から八日までの期間、七夕のお飾りが歩行者天国の中央通り、そして一番町界隈に飾られる。 もちろん仙台駅周辺やデパートの中にも、大きなくす玉飾りと吹き流しがにぎやかに飾られるが、あくまで七夕のメインストリートがそこだということだ。 高校一年になったばかりで、家では一人で夜の外出禁止。沙羅の家もそうだと思う。昼のお祭りは浴衣で出かけていいことになってる。 「七夕見物は生徒会のみんなと出かけるつもりだけど、那結も行く?」 「私は人混み苦手だから遠慮しとくよ。ヘタすると中学生ふたりの引率しなきゃならないかもしれないし」
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