カササギの橋は渡らない

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その時は必ず「腹違いの双子」という単語を出す。相手を煙に巻くのが楽しいらしい。 (続けて「実は、父も違うんです」って悲壮感漂わせて言うのよね) 学校も一緒だし、下校時間に一緒に帰ることはあるけど、この頃はいろいろ理由つけて別々に帰っている。 「それにさ、会長も来るみたいだし。会長って結構カッコいいと思わない?」 「ああ……、磯村会長も来るんだ」 (だったら余計行きたくないな) 単純に私はそう思った。 沙羅は知らないと思うけど、私あの先輩が苦手なんだ。 磯村剣司(いそむらけんじ)先輩は生徒会長。沙羅は頼れる先輩だっていうけど、いつだったか沙羅と待ち合わせしてたら、生徒会の他の役員と一緒に磯村先輩とすれ違ったことがある。沙羅はにこやかに挨拶してた。でも一瞬私と先輩の目が合って、その私を見る目が怖くて仕方なかった。目が怖いって言っても沙羅は絶対信じないと思う。(もちろん沙羅にはそんなこと言ってない)普段は厳しいけど優しい先輩だって言い張るから。何が怖いかは自分でもわからない。感性でそう思うとしか言えなかった。
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