かおのないやさしいかみさま

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 夏休みをのばしてください。  宝ものにしている、かわいいリボンも、きれいなブレスレットも、ビーズも、かみさまがほしいといえば、ぜんぶあげます。  学校には、嘘つきばかりです。けがもしました、本当は、とっても苦しいです。  どうか、助けてください。  送り先のところへ、かみさまの名前を打ち込みました。かみさまは、カタカナの名前でした。パパが、パソコンの画面にふせんをつけて、名前を書いておいてくれました。  きっと、海の向こうにいるかみさまなんだなと、思いました。  矢印が「送信」というボタンに乗るように、マウスを動かして、かちゃかちゃ、とパパのまねをして、クリックをしました。  紙飛行機が、画面のなかで、びゅぅんと飛んで、消えました。  お手紙は、ちゃんと送られたみたいです。  胸のなかにあった、重くて苦しいものが、すっと消えていき、ぐっすりと眠ることができました。
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