かおのないやさしいかみさま

6/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「世界的な集団が動くのも、うなずけますね」  おじさんが、何度もうなずきました。 「学校は本日中に記者会見と、保護者会を開く予定とのことですが……ソーシャルネットワーキングサービスでも、炎上しているようです。鎮火までは、しばらくかかるかもしれません。」  お姉さんが、泣きそうな声で言いました。  ママがあわてて、テレビを消しました。 「さっき、パパから電話があったの。パパが好きなアナウンサーが出ている、ニュースを見てほしいって。パパとママの天使が、泣いているわけがきっと、わかるからって……」  ママは泣き出して、ごめんねと謝って、私を抱きしめた。  私も泣いた。たくさんたくさん、今までがまんしていたぶん、洗い流すように、涙が出た。  かみさまがいたこと。  ママがわかってくれたこと。  夏休みをのばしてくれたこと。  かみさまがいたことがうれしくて。  私とママは、思いきり泣いたあと、うんと伸びをして、空を見上げました。  青くてキラキラした、きれいな空が、窓の外に広がっていました。  パパが帰ってきたら、ちゃんとお話しできますように。  かみさま、どうかお願いします。  メールを送って、私はママとおいしいおいしい、朝ごはんを食べました。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!