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僕は娘から届いたメールに、ほっとして、つい「どういたしまして」とひとりごちた。
「まったく、君の娘のために一汗かくとは、思わなかったぜ。すっかり神様扱いだ、困ったもんだな」
向かいの席に座る、同僚のMが苦笑して僕に言う。
「お嬢ちゃんたら、すっかり信じまったじゃねえか。人様の情報を漏らして、ろくな神様じゃないって、帰ったら伝えとけよ?」
「それは勘弁してくれよ、うちのかわいい天使の夢をこわさないでほしいね。これでも、帰れば優しくて物知りで、頼れる素敵なパパなんだぜ?」
僕とM、それからまわりで仮面やマスクで顔を隠した仲間たちが、パソコンが並ぶ薄暗い部屋で、どっと笑った。
「隠しカメラの天才が、素敵なパパとは、どうやら本気でヤバイ世界になっちまったようだなあ、M」
「まったくだ、こいつは傑作だ。ランチはこいつのおごりで、ドリンクバーで乾杯といくか、なあ?」
「ほっかむりにマスク、仮面の集団がファミレスで宴会か?本物の神様に怒鳴られるぜ、なあパパ、そうだろう?」
Mにからかわれて、僕は娘が父の日にくれたうさちゃん柄のお手製マスクをかけなおし、肩をすくめた。
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