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千代田区霞ヶ関1丁目1番1号の中央合同庁舎第六号館A棟に法務省本省や最高検察庁と共に公安調査庁のオフィスがある。地上21階、地下4階のいかにもといったビルである。
斎藤がデスクで何やら書類に目を通していると、
「斎藤君、ちょっといいかな」
と室長の青木に呼ばれた。
個室になっている室長室に入る斎藤。
「はい、どうされましたか」
「まぁ掛けてくれ」
と応接ソファーを手で差す青木室長。そのソファーには斎藤の後輩にあたる柿崎という33歳の男が既に腰掛けてかしこまっていた。
会釈する柿崎。
「お、」斎藤は軽く頭を振る。
「君たち二人がこれから担当する仕事の話だ」
と青木室長は手元のお茶を飲んだ。
「ハイ」
姿勢よく座っている二人。この仕事がどれだけ危険な仕事なのか、この時二人はまだ想像すらしていなかった。
「これは我が国にとって重要な任務だ。そして極秘裏に行われる」
「はぁ・・・」
眉をしかめる斎藤に、肩をすくめる柿崎。
「手元の書類をまず見てくれ」
と二人の前に伏せて置いてあるA4サイズの用紙1枚を顎で指す。
(誓約書・・・)
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