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「というと?」
「まぁ、例えば本来であれば犯罪集団がやる仕事だったり、人道的な事を考えたら出来ないような仕事だったりするなら、私は遠慮します」
「遠慮はするが断る事は無いと解釈していいか?」
逆に斎藤は突っ込まれる。
「いや、そう言われましても・・・」
「断る事はもちろん出来るよ。残念だがね・・・」
「・・・・・・」
そう言われると斎藤は困り果てた。
「僕も家庭持ちの調査員や、器でない人間には頼めない。君の将来を考えたら一つの壁として妥当なものかと気を配ったつもりなのだがね」
青木室長はじっと斎藤の目を見て様子を伺っている。
「フー・・・」
と斎藤は肩で息を吐く。
その様子を黙って横目に見る柿崎。
「分かりました。受けさせていただきます」
斎藤はふと輝美の事が浮かんだ。そろそろ結婚の事も考えなくてはならない。輝美に対しては待たせている責任を感じていた。自分の出世が絡んだ仕事なら嫌でも受けなければならないだろうと。
「それでこそ斎藤君だ。君はエースになるべく人材だ。この山を乗り越えてくれよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「では二人とも、この誓約書にサインをしてくれ」
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