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「まずは被験者を確保しないとならない。アメリカが問題だったのは病院や刑務所で勝手に人体実験をしていたことだ。そんなことをするつもりは毛頭無い。もっと賢い方法で被験者を確保する」
ニヤリとする青木室長。
「どこにそんな人間がいるんですか?」
柿崎が怪訝な顔をして聞く。
「山梨県にいるよ」
「は? 山梨?」
ポカンとする二人。
「普通に生きていたい、人生を全うしたいと願う人間で実験をするから問題なんだよ。そうじゃない人間を被験者にしたらいいんだ」
「そうじゃない人間?」
柿崎が呟くと、
「生きていたくない人間か・・・」
と斎藤が呟き、ピクンとして、
「青木ヶ原」と言った。
「そうだ、さすが斎藤君。偶然にも僕の名前と同じなんだけどね」
と青木室長はニヤけた。
「自殺志願者を拉致するんですか?」
斎藤が聞くと、
「拉致なんて聞こえが悪い。彼らに協力をしてもらうんだよ」
と囁くように告げる青木室長。
「・・・・・・」
黙っている二人。
「この計画の中身を今、君たちは知ってしまった。もう後戻りは出来ない。分かっているね?」
「・・・ハイ」
頷く二人に、青木室長が告げる。
「専用の事務所を設ける。地方への移動が便利な上野だ。冬前には引越しをしてもらう。オフィスには出向ということにしておく」
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