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車は河口湖インターチェンジから中央自動車道に乗って首都圏を目指していた。忍野村から約2時間のドライブだ。
「よう、柿崎」
運転する柿崎に話し掛ける斎藤。
「はい?」
「俺たちがやろうとしている事は犯罪だよな・・・」
「え?」
柿崎は運転しながら斎藤の顔を二度見する。
「国家の安全のための公安がこんなことしていいのかな・・・」
「・・・・・・」
柿崎は前を見ながら無言で考え込む。
「正義って何だろうな・・・」
力なく呟く斎藤に、
「斎藤さん、それを考え始めたら今回の任務は帳消しですよ」
「うーん・・・」
ブーーンと柿崎はアクセルを吹かして前の車を追い越した。
「結局俺たちだって金のために引き受けたんじゃねぇか」
「まぁ・・・出世イコール金ではありますね」
「正義や国民の安全を考えたら、断るべきだったよな・・・」
「・・・・・・」
「この実験で標的とされているあの作家だけど、もし本当に暗殺に成功したら、これは言論の自由に反した行為だよな。それにこれから捕える被験者に対しては基本的人権の尊重に反しているよな・・・」
「はぁ・・・」
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