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「国家の意思っていうけど、国家が犯罪行為を影でバックアップしている。それも詰まる所、影の存在達の〝金〟のためだろう? 俺たちはその道具としてこれから使われる。奴らは手を汚す事すらしない。何かがあれば、それは俺たちの責任。俺たちが個人的に勝手にやったことにされて刑務所送りだ。俺たちが何かを喋りそうだと消される可能性だってある」
「・・・・・・」
「俺たちは、」
と続ける斎藤の言葉を遮って、
「じゃあ止めますか?」
と柿崎は前を見ながら強く言った。
「はぁ?」
「半年以上も掛けて準備して来たんですよ。絶対にしくじれない任務です。斎藤さんも言ったじゃないですか〝抜かりなく緻密に行こう〟って」
「・・・・・・」
黙る斎藤はダッシュボードを見つめている。
「粛々とこなすしか無いと思います。もうここまで来たら」
「フン。強いな、お前は・・・」
斎藤はうすら笑いを浮かべた。
「そりゃあ斎藤さんの部下ですから」
真直ぐ前を見て答える柿崎。
「次のサービスエリアに寄ってくれ。ションベンするわ」
「はい。了解しました」
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