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レストハウスの駐車場で待機するセダンには斎藤と柿崎が固唾を飲んで、遊歩道の方向に目を向けていた。時折、周囲に車が来ないかとチラッチラッと目を配る。
20分程待っただろうか、遊歩道の先から幾つかの光が見えてきた。
「来た!」
斎藤が声を上げると、助手席にいた柿崎が真っ先に降りて、隣に停めてある黒いキャラバンの後ろのハッチ扉を開けた。
斎藤も降りて周囲を見渡し、
「異常無し。そのまま進んで下さい」
と無線に告げた。
3つの光が近付いて来た。帽子に付けられた小型ライトの光だった。三人の男が照明や三脚、小型発電機を抱えて最初にやって来た。
その中の一人が杉山だった。
「お疲れ様です」
と斎藤と柿崎は杉山に目を向けると、器具の撤収作業を手伝った。
「担架のまま納めるからスペースを空けておいてくれ」
杉山は誰に無く告げると、遊歩道の方を見た。そして、
「大丈夫だ。運んで来い」
と無線に告げると奥で光がパッと2つ点いた。
担架に男が寝かされて運ばれてきた。
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