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「な?たまには外に出掛けるのも楽しいもんだろ?」
女が車中で俺に話しかける。
ん~、ちょっとびっくりしたけど…まあ世の中にはいろんなのがいるもんだな。
利口で行儀の良かったグレートデーンとスタンダードプードルを思い返す。
猫にもデカイ種類がいるんだぞ?
女は楽しそうにそんな話をする。
まるで病院であまり芳しくない話をしたのを打ち消すような話しぶりだな。
無理に明るい話題を持ち出したりして、いつもの強気な女とは様子が違う。
ちょっと切なくなる。
信号待ちしてる間に俺は女の膝へ乗ってみた。
女は俺を撫でながら黙りこんだ。
「…楽しい事を考えような?ぺいたんよ。」
女は嫌な事やら辛い事がある時はそうすると言う。
これを越えたら楽しい事があるんだって思うことにしてるって。
そしたら何とか頑張れそうだから、今までずっとそうして来た、と。
でもそんなこと言うくせに、女の顔は何だか悲しそうだった。
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