秋の夕暮れ

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夜は嫌だ。 今は活気のあるこの場所も人の姿なんてなくなる。 良いとこ、長距離トラックの運ちゃんが仮眠取るために停車するくらい。 昼間は影を潜めている野良猫がゴミ箱の残飯めあてに姿を見せるし。 別に俺は、奴等の邪魔なんかするつもりはないのに、ただここにいるッてだけで奴等は攻撃してくる。 俺はそういう野蛮な種類じゃないし、紳士なんだよ、 お行儀だっていい。 あんな、ニンゲンの食べ残しなんか興味はない、体に悪いんだぞ。 現にニンゲンのくれるものは何の腹の足しにもなってない、 食べても全部、上か下から出ちゃうだけだしな。 ああ。 俺、どうしてここに居るんだろ? 迎えに来てくれないかなあ…。 「ごめん! 遅くなっちゃって!」 って。 今ならうん、許してやってもいいな、 お詫びにたくさんおやつをくれるなら…。
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