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地上へ
ヴィージュの話はとても皮肉な話だった。
彼女は元々外の世界で今のような商売を人間のフリをしていたそうだ。
その時は結構繁盛していたそうで客足は滞りなかった。
だが、そんなある日。
彼女の店に一人の男が来客したそうだ。それもイサエルと同じ青の髪を持つ男だった。
だが、彼と違って髪は長く一つに結っていた。
それに前髪も綺麗に整えられていた。
彼女も良い客が来て大層喜んでいたそうだ。
だが、何れそれは客と店長のという垣根を越えて次第に恋人のような関係になっていた。
そして、本格的に男女との関係なって間もない頃、彼は突然こんなことを言い出してきた。
「ヴィージュ、明日から私は来れなくなる…寂しくなると思うが安心しろ君の事は必ず迎えに行く…」
そう言いながら男は何かに悲しむように自分の胸を擦っていた。
この様子に違和感を持ってつい、盗み見してしまった。
男の胸に刻まれたイサエルと同じ、蒼の民の証の痣があった。
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