灰色の雲

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 一度自分の痣に恨みもしたが今はこの不死の体を用いて緑が戻る事と青空が見れる方法を探すことにした。 手掛かりは村長の家の地下にあって、そこで住んでいた妖精のブルラと出会った。 妖精は普通の人には見えないが、魔法が扱える者には見えるそうだ。 そしてブルラは蒼の民を導く存在だと言っていた。  それから、二人はとても永い永い旅をした。 最初に辿り着いたのはあの毒の霧の発生源の廃墟の街だった。  ブルラを危険な目に合わせないように遠い場所に待たせ一人で廃墟に向かった。 そこでは一人のAIが自分のマスターを助けてほしいと懇願した。 その願いをイサエルは叶えさせ二人は毒の霧と共に光となって消え去った。  その置き土産なのかどす黒い雲が灰色になり、それに大地に潤いを与えるかの如く、澄みきった水の雨が降り注いだ。 一頻り降ったり止んだりしたお陰で彼の一つ目の目的だった緑が蘇り始めた。  その瞬間を見た二人は大いに喜んだ。 「良かったですね!イサエル様!!」 彼女の感動の言葉には耳には届いておらず、ただ満面な誇りを得た笑みを浮かべていた。
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