泉の中の妖宮

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(もしかして、幻覚でも見せられてるのか?) そうして、どうにか門前まで近づくと目の前にある大きな扉が重々しく開いた。  そこから、現れたのは白い和装に水に溶け込んでいるように見えた半透明の羽衣を見に纏っていた。 髪は黒くそのまままっすぐ垂れていて腰まで伸びていた。 その異様な美しさに一瞬息を飲むけれども何処か怪しいと睨んでいた。 「…………何故、俺をここに連れてきた?」 思わずそう問いかけたら目の前にいる女性がこちらに近づきながら話しかけてきた。 「久しぶりのお客様ですもの…おもてなしをしなきゃ…」 彼女の口ぶりに自分の見た目に訝しんだ。 (もしや、俺を人と認識してる?もう少し様子を見ようか) そう思って態と、彼女の姿に見とれてしまったヘタレを演じた。 「えっ…………こんな俺を………もてなすため…なんて」 「ええ、とても永かった……」 不意に彼女の口からとてもか細くそんな言葉が聞こえた。
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