泉の中の妖宮

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 でも、そんな寂しそうな言葉を打ち消すかのように長い袖を口許を隠して妖艶に見せてきた。 「それで、あなた様の名を聞かせてくださいませんか?」と聞かれ、自分の名を口にすることは躊躇い「な…名乗るのも……ないです…」と誤魔化すことにした。 「そう……ならあなた様の事『主様』と呼ばせてもらいますわ。それで私の事はヴィージュと呼んでください」 そうして、彼女に導かれイサエルは王宮の中へ入っていった。  その頃、ブルラは偵察から彼がいるであろう場所に戻ってきてみたら、すでに彼の姿がなかった。 「あれ?イサエル様!何処ですかー!?イサエル様ー!」 そう、叫びながら彼女は森の奥へと入っていった。 彼を探しに……。
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