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泉の中の妖宮
それから、二人はまた長い旅をすることにした。
そして、歩いてる途中で小さな花が咲いてることにイサエルは目を止めた。
「こうして、自然が戻ってきてくれたことは本当に二人には感謝してる……」と言いながら科学の街にいた二人を思い馳せながら、花をソッと摘んでそれを慣れた手先で花の指輪ができた。
「イサエル様それは?」
彼が作った物が知らないのか物珍しさに周りを観察するべく飛び回った。
「これは、指輪って言うんだけど……本物は石とかで出来てるんだ……だから、今はこれだけ……」と申し訳なさそうに眉を寄せ、ぎこちない笑みを浮かべ手に持ってる指輪をブルラに渡した。
だが、彼女の身長は小さいので腰にベルト代わりに収まった。
「イサエル様?あの?」
貰える理由を気づいてないのか首をかしげながら花を優しく触れながら、質問したらあげた本人は頬を赤く染めながらこう言った。
「もう、何千年も一緒にいたのに感謝を忘れるところだったよ」
そんな彼の言葉に彼女は目を潤ませ、思いっきり頬に抱きついた。
「ありがとうございます!イサエル様!私、一番嬉しいです!」
あまりの喜びにブルラは何度も頬擦りした。
「ブルラ、くすぐったいっ…」と嫌そうに言うものの頬はまだ緩んでいた。
一頻り頬擦りしたブルラは興奮が治まり、腰にある花に優しく触れながら何か小さく呪文のようなものを唱えていた。
それを密かに聞いていたイサエルは和んでいるような笑みを浮かべて静かに立ち上がった。
「道は長いんだ……あまり慌てずしっかり歩んでいこう……」
「はい!」と満面な笑みを浮かべながらブルラはまた彼の肩に座って、首にもたれかかった。
それから、二人は小さな幸せを噛み締めながら歩を進ませた。
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