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私は先輩との待ち合わせ場所に向かって自転車を漕ぐ。
お揃いにしたくてベリーショートにした茶色の髪は汗で湿っている。
まだ暑さが残る九月初めの道路脇には、枯れた向日葵の残骸が並んでいて、ああ、この向日葵は生を全うできたんだなと思うと、なんだかいとおしくて、切なくて、胸がいっぱいになった。
こんな風に私の向日葵である野中先輩も、最後まで生き抜いてから枯れてほしい、お爺さんになるまで笑っていてほしい、十七才で砂になんてならないでと大声で叫びたくなった。
私はその気持ちを漕いでる自転車にぶつけて加速していく。
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