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「曽木の滝は行ったかしら?あそこすごいのよ?!絶対、見ておいた方がお得!」 「曽木の滝?」 もう行ったかしらという問いに首を振ると、彼女は両手をぐぐっと広げる。 どうやら滝を表しているらしい。 「200mくらい川幅があってね」 「あ、」 そこでようやくピンと頭に映像が浮かんだ。 轟音鳴り響く壮大な滝だ。巨岩がごろごろしている中、飛沫を散らして水が落ちていた。 東洋のナイアガラとか言われていて、確か近くには、冬は湖に沈むという発電所があった気がする。 行くならバスで行こうと思いながら、すっかりその存在を忘れていた。 「んで、行きたいのか、行きたくないのか」 痺れを切らしたように彰人さんが呆れた顔で右手を腰に当てた。 その様子を見てさらに「迷惑では」という考えが頭をよぎったけれど。 「……あかねちゃん」 行きたいなら行きたいって、言っていいのよ。 その優しい声色に背を押してもらってようやく見た彼の顔はちゃんと私の返答を待ってくれていて。 「い、……行きたいです!」 「ん。明日9時。玄関に車回すから。おやすみ」 「おやすみ、なさい」 恐る恐る伝えた願望にほんの少しだけ、彼の微笑みを見た気がした。
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