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不思議な色。澄んだ水色で、宝石みたい。寒い冬の湖を覗き込んでいるみたいな気がする。それに、顔立ちも綺麗。色が白くて、ほっそりとして。綺麗な白い髪も、とても素敵。
こんな人と、恋人だなんて信じられない。馬車の中で、色々聞いた。友人だと言っていたけれどそれは嘘で、本当は恋人で。最初は疑った。けれど、胸の中が温かくなっていく感じがあって、本当な気がした。
不思議。何も覚えていない。けれど何かが内側から叫んでる。シウスといると胸の内が温かくて、時々切なくて、恥ずかしくて、でも触れてみたい。
なのにちょっと痛いんだ。苦しくなる。この苦しいに触れると、頭が痛くなる。
「ラウル、どうした?」
「未だに、信じられないなと思って。僕が、シウス様と恋人なんて。どうして、そうなったのでしょう?」
「私が惚れたのだよ。お前の素直さと、優しさに」
「僕の、素直さと優しさ?」
「そう。それは今も失われていない。私は少し特殊な血筋の一族で、周囲から煙たがられていた」
「そんな! シウス様はとても優しくて!」
ラウルは言い募る。優しくて、綺麗で、頭が良くて、そして……。
「くくっ」
「あの?」
「怒ってくれるのも、そのままじゃ。何一つ、恐れる必要はなかったな」
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