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それに一緒に眠ると、触れたくてたまらなくなる。胸元に甘えて顔を擦り寄せたこともある。大好きな匂いがする。ドキドキして……
そういえば、シウスとは恋人だった。それなら、どんな関係だったんだろう。ラウルも大人なのだから、やっぱり、その……大人な関係だったのだろうか。もしかして、キス以上の事も……。
「うわうわうわ!」
ダメダメ、何を考えているんだろう。そんなこと……
あったのかな? あったらいいな。そんな思いにかられて、キュッと手を握る。
そもそもシウスはこんな子供の、しかも男の体を見て嫌だと思わないのだろうか。それとも記憶喪失前はテクニシャンかなにかだったのかな? そんなの、想像つかないけれど……。
想像しようとして、やめた。体が熱を持って、あらぬ部分が疼きそうだったから。
その時、どこからか「みぃ~」という弱い声が聞こえ、ラウルは立ち上がった。
声の出所を追って視線を向けると、裸になった高い木の上で子猫が一匹鳴いている。登ったまではいいが、降りられなくなってしまったのだろう。
足を踏み出してはフラフラとして今にも落ちそうな子猫を見ながら、ラウルは慌てて駆け寄った。
「待ってて、今下ろしてあげるから!」
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