忘れたくない人(ラウル)

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「いや、ラウルはまだギリギリだが未成年だ。それに、自首をすれば罪が軽くなるという。上手くすれば、命まで取られないだろう」 「だからって!」  クラークの非難めいた瞳と、静かなスチュアートの表情。僕はその両方を見ていた。 「だがラウル、俺達の罪は死罪だ。行けば、辛い罰が待っているかもしれない。それでも、行くか?」  問われ、考えた。でもどうしても、この生活が正しいなんて思えない。沢山の子供が処分されるのを見た。沢山の人を殺した。熱い血がかかる度、心は冷たくなっていった。  怖くなったのだ、いつかこの心は何にも動かなくなるのではと。人を殺している時はまるで別人のようになる。そして、冷静になって震えてくる。  もしも別人のような自分の時間が増えてしまったら? 誰かの死に涙が出なくなってしまったら? それは、人と呼べるものなの? 「行きます」 「分かった。次の任務、お前を一人にする隙を作る。そこで逃げろ」 「……怒られませんか?」 「慣れている」 「一緒に!」 「……それはできない」  スチュアートは悲しそうに瞳を閉じて、首を横に振った。 「俺も、クラークもとっくに成人だ。そして、お前よりも多くを殺してきた」 「死罪を免れません。それに……ホレスを一人にできません」  悲しそうなクラークの声音に、僕も俯いた。     
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