好きでいて、いいですか?(ラウル)

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 涙がポロポロ出てくる。止められないけれど、これでいい。涙と一緒に苦しいが出て行く。だからこそ、前に行ける。 「ごめんなさい……」 「ラウル」 「ごめんなさい! 僕は貴方に相応しく無い! 貴方が愛してくれるような、そんな綺麗なものじゃ!」  強く抱きしめられ、顔ごと胸に押しつけられて、言葉が切れた。触れてくれる手が、震えている。 「良いのじゃ、ラウル。私はなにも、綺麗なものを求めたのではない。其方を求めたのだ」 「シウス様……」 「其方でなければ意味がない。それを、此度思い知った。お前の罪を知って驚きはしても、それを責めたり穢れとは思っておらぬ。ラウル、すまぬ。私が押し切ったのだ」  静かな声も震えていた。絞り出すように紡がれる心に、触れている。  ギュッとシウスの胸元にしがみついて、ラウルは静かに泣いた。  覚えている。貧しく美しい娘と貴族の恋の歌劇を見て、ディナーをして……告白された。あの時、言わなければと思っていた。  出かかった言葉は、シウスが遮らなくてもあれ以上出なかったのだ。喉の奥がひっついて、苦しくて言葉が出てこなくなっていたのだ。 「謝らないでください。言わなかったのは、僕です。隠したままでもいいから、側にいたかったんです。僕も、シウス様が好きだから」 「ラウル、だが……」     
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