好きでいて、いいですか?(ラウル)

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 皆、誤解している。アンドリューは酷い人だったけれど、そこに住む子供達は必ずしもそうじゃなかったんだ。沢山の人間らしさを捨てなければ辛かった。 「……誰かを犠牲に、誰もが生きている。私とてそうだ。父を犠牲に生き延び、母に庇われて今ここにある。間違えば、同胞を多く失う所であった」  辛そうに瞳を伏せながら、シウスは背中を撫でた。頬に手が触れて、涙を拭い去っていく。優しい手。でもこの手も決して、血を知らぬ手ではない。 「ラウル、二人で背負えばよいよ。知ったからには、私もなかったことにはせぬ。残りの罪は私も背負う。死んだ者にしてやれる事はなくても、同じ過ちを繰り返さぬ事はできる。死者にできぬ事を、これからの生者に施す事はできる。ラウル、一人で抱えるな。私を、側に置いておくれ」 「シウス様……」 「私には、其方が必要だ。其方がいなければ私は、よく眠れぬ。食事も、喉を通らぬ」  苦笑したシウスがそっと、ラウルの額にキスをする。優しい目で、見つめてくれる。 「ラウル、結婚してほしい。四月と言わず、今すぐにでも。私はもう一秒たりとも、其方を離したくはない」  ドキドキと、心臓が甘く締め付けられる。胸の内側から、カッと熱くなっていく。嬉しさからまた、涙腺が緩んだ。でもこの涙は苦しくない。嬉しくて、幸せだ。     
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