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凄惨な新年
一月四日となれば、本格的な仕事始め。通常であれば昨年の反省をし、一年の予定を確認し、抱負なんかを述べるまったりとした朝議があったりする。
だが、早朝に飛び込んだ事件によって朝議は無し。ランバートは王都から一時間の別荘地へと足を踏み入れ、そして現在固まっている。
「うっ、うえぇぇ」
「なんだ、これ……」
知らせに来たリオガンすらも困惑顔。そして出迎えたキフラスは険しい表情だ。二人はこの地で少しでも恩返しをと、自警団に所属している。その彼らが、今回の事に戸惑っている。
「すまない、ランバート。状況と言っても、俺もまだ何が何だか分からないんだ」
「いや、これは……」
酷い異臭に口と鼻を覆いながら、ランバートはとある屋敷の一室へと踏み入れた。
凄惨とは、こういうことだ。一家三人が、主寝室で惨殺されている。
父親と娘は比較的楽に死んだだろう。首を切られて天井や壁にまで血が吹き上がっているが、まだ綺麗な状態だ。頬に涙の跡が、目は見開かれ、口は苦悶に歪んでいる。
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