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四月の誕生日にと言っていたけれど、前倒しにして籍を入れた。指輪も全部後からになったけれど、何ら問題なかった。ただシウスと確かな関係が結べる。それだけで十分だ。
「ラウル、おめでとう」
ワインを飲み込んだランバートが一つの包みをラウルへと手渡す。受け取って、嬉しくて微笑んだ。
「有り難う、ランバート。これ、いいの?」
「俺とファウストからのお祝い。使ってくれよ」
「うん!」
中身は後で。思っているとあちこちから包みが差し出される。
「これは私とオスカルから」
「これは俺とゼロスからだが……」
「俺からだ、ラウル。この人に任せると仕事道具になって困る。結婚祝いに刃物贈るバカはいないからな」
「……面目ない」
呆れ顔のゼロスになじられ、クラウルは知らない顔で項垂れる。その様子がおかしくて、ラウルはクスクス笑っていた。
「なんじゃクラウル。お前も尻に敷かれたか」
「シウス様、これでも俺は相手を立てるほうなのですが」
「立てているかえ?」
「あまりに常識の無い行動をする時に窘めるのもまた、愛情です」
大きな体を更に小さくするクラウルに、みんなは大いに笑っていた。
「それにしても、式挙げないの? 勿体ない」
上機嫌のオスカルがちょっと不満そうに言っている。けれどラウルもシウスもこれでよかった。それに、実は二人で式は挙げたのだ。
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