好きでいて、いいですか?(ラウル)

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「埋め合わせで沢山お相手いたしましたが?」  クラウルはクラウルでゼロスに対して何やらモーションをかけている。これもまた、見た事のない姿だ。  上官クラウルはキビキビとして厳しく、私人となれば優しい。根本的には優しく情のある人なんだ。  これが恋人相手となると、こうまで人が変わるのか。ラウルは思わず苦笑してしまった。 「まったく、結婚祝いだと集まったこいつらが私達以上に惚気て」 「ふふっ、平和です」  隣りのシウスに凭れるようにして甘えれば、すんなりと受け入れてくれる。寄り添って、賑やかで幸せな人達を見ている。それが、ちょっと嬉しい。 「落ち着かず、新婚旅行もお預けになりそうじゃ。すまぬな、ラウル」 「構いません、シウス。そうだ、新婚旅行はジェームダルというのは」 「殺伐とした提案をするでない。まったく、本来なら行かせたくはないのだぞ? 敵地へ先攻するなど危険じゃ」 「でも、ランバートもゼロスも同じチームですよ? 新婚でも、不公平はいけません」  譲る気はない。そういうつもりでラウルはこれを突っぱねた。     
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