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優しい手が頭を撫で、下を向きそうな顔を上げさせられる。そして深く、舌を絡めるキスが落ちてきた。柔らかく舌を吸われ、促される様に舌先で擽られて。心地よくて、満たされて、痺れてきてしまう。
「嫌うわけがない」
「でも……」
「そこに感情があったわけではない。……いや、例え感情が動いたとしても、奪い返す。私はもう、お前についてだけは我が儘を通すと決めたのだ。お前を誰にも渡さぬ。奪うというならば、私を殺してからにしてもらう」
「シウス、そんな!」
「狭量で十分じゃ、何が悪い。愛しい者を奪われない為に必死になるなど、当然だ」
強い意思のある瞳が、偽りないと言っている。その気持ちに、嬉しさを感じる。
「僕も」
「ん?」
「僕も、貴方が好きです。貴方に触れられて……気持ちいい事も、好きです。シウス、僕を抱いてくれますか? 嫌いじゃないなら、どうか……」
汚れた者を抱く気にはならない。そういう気持ちがないなら、どうか……
穏やかに微笑むシウスが当然のように深く口づけてくる。息苦しいほど、奪うように。こんなに激しくされる事は行為の最中でも珍しい。
けれど、嫌いじゃない。このまま、全て吸い上げられてもいい。蕩けて、全てを曝け出しても恥ずかしくはないんだ。
「勿論、そのつもりじゃ。ラウル、今宵はとても長くなるぞ」
「はい、嬉しいです」
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