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「まったく、心配させるな」
やつれた笑みを浮かべたファウストを見上げている。安堵も多少、している様に見える。
「どのくらい、私は眠ったのだ?」
「一日半といった所だ。もう少しで夕刻だ」
「そんなに?」
「心労が祟ったんだろう。まだ熱がある、数日休め」
「……すまぬ」
皆に迷惑をかけている。何処かで気持ちを切り替えなくてはならない。どこかで……決着をつけなければいけないのだろう。
いやだ……
「っ!」
鈍い痛みにこめかみを押さえたシウスを案じてファウストが額に手を当てる。そして誰かを呼ぼうと立ち上がった、その時にノックの音が響いた。
「誰だ?」
「ランバートです」
「……入れ」
ファウストの声に従って現れたランバートは、シウスを見て安堵したように笑う。ただ、困っている様子でもある。何か、あったのか。
「どうした?」
「それが……シウス様に客が来ているのですが……」
「私に、客?」
誰だろうか? 重い体を起こし、上体を立てた。
ランバートはとても言いづらそうにして、シウスとファウストを見ている。だがやがて大きく息を吸い、静かに伝えた。
「教会の子供です。ラビと名乗りましたか……ラウルの様子がおかしいと、慌てた様子で」
「なに!」
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