404人が本棚に入れています
本棚に追加
様子がおかしい、とはどういう意味だ。何があった!
慌ててベッドから起き上がろうとして、目眩がして倒れそうになる。ファウストが支え、エリオットを呼ぼうとしたがシウスは止めた。この状態で奴が外出を許可するとは思えなかったのだ。
「シウス!」
「責めは私が受ける。ランバート、連れて行っておくれ」
「……馬車を用意します」
「そんな悠長な……」
「今の貴方では徒歩の方が時間がかかります。それに、俺がエリオット様に殺されます」
言うが早いか、ランバートは踵を返してしまう。ファウストが側に置いていた服を渡し、随分とデカイコートを貸してくれた。
程なくして粗末だが馬車が用意され、ラビとシウスがそれに乗り込む。御者をするランバートが手綱を握り、滑るように雪道を走り出していった。
「一体何があったのだ、ラビ。ラウルは……」
「俺にも分かんないんだ。ただ、シウス兄ちゃんが昨日も今日も来なかったから……」
俯き、戸惑うラビはそれしか言わない。眠っている間に、何があったのだ。
この子は教会の中でも一番のリーダーで人懐っこい。そして、行動力のある子だ。きっとラウルを慕い、心配して駆けてきてくれたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!