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第17章 縁ぎりぎりの水
それからすぐにわたしたちの間が劇的に変化したってわけじゃなかった。残念ながら話はそう簡単じゃない。
だけど、真夜中の寝室で身体を寄せ合いながら正面切ってお互いの気持ちを打ち明けあったことはあとで考えたらすごく大きな前進だったと思う。何となくその辺をふわふわと曖昧に濁して性的な問題なんてない振りを今でも続けてたとしたら。遅かれ早かれ二人とも、精神的にも身体的にもじわじわと追い詰められてやがて参ってしまってたかもしれない。
相手は今、どんな気持ちでいるのか。これからどうしたいと思ってるのか。お互い五里霧中のまま、先が見えない状態でそれぞれ途方に暮れてるよりは漠然とでも進む先がわかってる方がいい。翌朝起きて顔を合わせた時も、そのあと何でもない顔で日常に戻った後も特に改めてその話を蒸し返すことはなかったけど。
それでも二人の間に共通認識ができた、って空気がはっきりと感じられたのは確かだ。部屋の中の雰囲気も自然と落ち着いて、彼の表情も幾分安心しているように見えた。
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