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本棚に追加 夜の寒さは銀桂の心の痛みを余計に鋭くした。霄溥の訪れを拒否して独りになりたがったのは自分の方なのに、今更誰かの優しさに触れたいと思ってしまう。
しかし、それを望むのはあまりにも身勝手だとも自覚していた。
――やっぱり、こんな見た目なのが霄溥様に近付くのは嫌なんだろうな
霄溥が皆に慕われているのは見てすぐに分かった。故に、周りが急に銀桂に対して冷たく当たるようになったわけではない。ただ、少しだけいい夢を見させてもらっただけで、以前の状況に戻ったに過ぎないのだ。
――元に戻る……。それをもし霄溥様にも言われたら……
銀桂は内心で首を傾げた。
何故こんなにも辛いのだろうか。仮定として思い浮かべただけにもかかわらず、実際に言われたどんなときよりも心が切り裂かれたのであった。
さすがに翌日は、銀桂も大人しく霄溥の訪いを待っていた。
霄溥の顔を見ると、昨夜の答えが浮かんできた気がした。
――ああ、そうか。この人に言われるからつらいんだ
銀桂は心の中で静かに頷いた。
――僕を?へと迎え入れてくれた人。初めて僕の髪を美しいと言ってくれた人
失いたくないと思う相手にも拘わらず、何故昨夜は逃げ出してしまったのだろう。もしこれが切っ掛けで霄溥の心が離れてしまったらと、銀桂は気が気でなかった。
悪いことをした。申し訳ない。嫌わないでほしい。
後悔の念が次々と湧いてくる。銀桂は霄溥を出迎えるも、彼の顔をまっすぐと見詰めることができなかった。
「銀桂、昨日のことは伝え聞いた。……だから部屋に居なかったのか?」
「はい……ごめんなさい、せっかく教えに来てくれているのに」
銀桂はきゅっと眼を瞑った。しかし霄溥は銀桂を全く責めはしない。
「いや、構わない。そうならないように出来なかった私の不手際だ」
「……違います! 霄溥様のせいではありません。これまでもずっと言われてきました。僕の容姿は気味が悪いと思わない人のほうが少ないのです。だから、霄溥様が悪いわけではありません」

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