終末の恋

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週末に終末が来る。 ダジャレでも何でもない本当のことだ。 先月末に日本政府から直々に無数の隕石衝突の報告を受け、今や日本はサヨナラムード。 どこのチャンネルを写そうがテレビには砂嵐が吹き荒れ、コンビニに行こうものなら好きにしてくれと閑古鳥が鳴いている。 でも、いったい誰が責められようか? 今日は金曜日にして世界最後の日。 明日を迎えれば人は皆須らく死を迎える。 そんな状況で真面目にやっていられる者などいないだろう。 僕も僕でせっかく終末を迎えるのなら好き勝手してやろうと息巻いたが、よくよく考えたら特にやりたいことなんて無い。 結局、地球最後の日に学生服に袖を通して学校まで足を運んでしまう始末。 我ながら一体何をしているのやら・・・。 普段ならにぎやかな学校も夏休みを思わせる静けさが漂い、まるで僕のことを嘲笑っているかのようだ。 思えば寂しい人生だ。 幼少期に父親が蒸発し、再婚した相手には僕の存在が気に食わなかったらしい。 日がな一日を逃げるように母方の実家に身を寄せたが、それも長くは続かなかった。 学生の身分でありながら一人暮らしを強要され、誰からも必要とされない疎外感。 何のために生き、誰に必要とされるのか?     
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